【完全保存版】いちばん分かりやすい!ベトナム進出について-2-

Xin chào シンチャオ!! YOKOYAMA KAIKEI(横山会計) 代表の横山(ヨコヤマ)です。

 

さて、今回は本格的にベトナムに進出してビジネスを行うかどうかの検討についての第2回目、さらに詳しく見ていくことにしたいと思います。

私自らがベトナム進出を経験していますので、当然、いちばん分かりやすい!

 ※参考:第1回は1)ベトナムという国の特徴(https://yokoyama-kkg.com/archives/14157)、

第2回の今回は2)進出地域・形態ごとの比較について詳しく見ていきたいと思います。

 ※参考:第3回は3)会社設立の具体的な手順や規制事項(https://yokoyama-kkg.com/archives/28406)

 

【2】進出地域ごとの比較

まず、ベトナムを大きく北部(ハノイ/Hanoi)と南部(ホーチミン/Ho Chi Minh)の2つの地域に分けて、それぞれの地域

を選択する際のポイントをご紹介します。

(1)北部(ハノイ/Hanoi)と南部(ホーチミン/Ho Chi Minh)を選択する際のポイント

北部、南部のいずれかを進出先として選択するかの基準については、通常、製品の販売先、部材の調達先などを基準に検討します。

たとえば、中国との取引が多い企業は北部を、他のアジア諸国(ASEAN諸国)との取引が想定される企業は南部を選択する傾向にあります。

また、北部は首都であるハノイ/Hanoiに多くの政府機関があり、政府との交渉が必要な大企業にとっては、利便性が高いといえます。

一方で、南部はホーチミン/Ho Chi Minhを中心とした国内最大の経済区域であり、特に中小の小売業・サービス業などを営む企業にとって、とても魅力的な地域となっています。

※中部は、経済・文化の中心都市であるダナンを有し、近年ベトナム政府の政策によりインフラ面や、IT面などの投資環境が整備されてきたこと、安い人件費、豊富な人材、治安と生活環境の良さなどから、外資による対内直接投資が増えてきています。

 

(2)北部、南部および中部それぞれの地域の特徴について

1)北部(ハノイ/Hanoi、ハイフォン/Haiphong etc.)の特徴

(1) 北部の特徴
ベトナム北部は、首都ハノイ、港湾都市ハイフォンの2大都市が立地する紅河デルタ地域を中心に、日系工業団地が整備されていることなどから、日本企業の投資は、ほぼこの地域に集中しています。
歴史的に北部地域への直接投資流入が、南部に比べて大きく出遅れてきた背景として、下記いくつかの要因があげられます。

①90年代後半までハノイ近郊に工業団地がなく、外資系企業の進出地の確保が難しかったこと
②駐在員の生活面を含めたインフラが未整備だったこと
③日越の航空便のアクセスが悪かったこと

しかし、ハノイ近郊に商社等により日系工業団地が整備され、日本政府の援助等により道路網が拡張され、港湾も整備されるなど産業インフラの改善が進み、現在の投資環境は南部の水準に追いつきつつあります。
併せて、ベトナム政府による北部への政策的な投資誘致活動や、中国に近いという立地面での優位性が注目され、2001 年以降、北部向け投資流入額は増加しています。

北部の魅力は、ハノイから中国の広東省まで約 800km と距離的に近いことが挙げられます。中国華南地域から部品調達を行う企業の進出だけでなく中国市場を狙うアンカー企業(産業クラスターの中心企業)の進出に伴いその Tier 1(一次下請け)、Tier 2(二次下請け) 企業の進出も進み、部品産業の進出も活発です。

ハイフォンも工業団地の設立などの産業インフラ整備により、輸出加工企業(EPE:Export Processing Enterprise)にとって、とてもメリットある地域となっています。
以下、ベトナム北部に進出した場合のメリットと留意点のまとめになります。

 

 

 

 


参考:JBIC ベトナムの投資環境(2017年8月度版)

2)南部(ホーチミン/Ho Chi Minh etc.)の特徴

南部地域は、1990年代以降のベトナム投資ブーム期から 2000 年まで、海外からの直接投資のほとんどを受け入れてきました。その要因として、下記にあげられる整備されたインフラ基盤があったことが挙げられます。
る。

工業団地輸出加工区を開発し、外国投資家が進出しやすい環境を用意
②ベトナム戦争中の、米国による道路インフラ・電力インフラなどの整備

さらに、1976 年のベトナム統一以前より資本主義体制であったことから、ホテル、レストラン、流通業などのサービス業も充実しており、市場経済を受け入れる事業環境が北部よりも早く整備されていたといえます。
2016 年までの外国直接投資流入額(累積ベース)をみても、南部への投資が 50%以上を占めています。
また、WTO 加盟によりサービス業における外資企業への規制緩和が進み、経済活動が活発なホーチミンを中心に内需を狙ったサービス業による投資も増加しています。
南部地域では、ホーチミンを中心に所得水準が高いため、消費意欲が強く、市場としての魅力もあります。
北部と比較すると土地、労働賃金などが高騰し、コスト面での競争力が失われつつあります。このためホーチミン市の周辺省であるドンナイ省、ビンズン省などでの開発が急速に進んでいます。
以下、ベトナム南部に進出した場合のメリットと留意点のまとめになります。

 

 

 

 


参考:JBIC ベトナムの投資環境(2017年8月度版)

3)中部(ダナン/Danang etc.)の特徴

(1) 中部の特徴
ベトナム中部は、ベトナム第 3 の商業都市ダナンを中心とする地域です。ハノイ、ホーチミンに比べてこれまで経済発展が遅れてきましたが、ベトナム政府の方針で広範でバランスの取れた経済発展を目指しており、インフラ面やIT環境といった投資環境の整備に注力するようになりました。
重点的に開発が進められているハイバントンネル、ダナン~クアンガイ高速道路、チューライ開放経済区(クアンナム省)、ダナン空港の近代化など、ODA 関連の大型公共投資を中心にインフラが整備されてきています。

ダナンハイテクパークチューライ経済区
ダナン市当局は、ハイテク産業への投資を奨励しており、ハイテク企業の進出を誘致しています。ベトナム政府は、先端製品の製造拠点を集積する「ダナンハイテクパーク」を整備し、入居企業に対して、法人税や土地リース料の減免など、さまざまな投資優遇政策を設けています。
ダナンの南にあるクアンナム省には、チューライ経済区などの工業団地が整備されており、農水産品の加工、建築資材の生産等のポテンシャルがある地域として注目されています。

ダナン港東西経済回廊
インフラ面では、ベトナム最大級の商業港であるダナン港(ティエンサ港)の整備が進められています。同港は、日本政府からの資金援助により、倉庫とその関連施設のシステム改良が推進されていますが、ラオスとタイを経由しミャンマーに至る「東西経済回廊」の起点でもあり、ASEAN域内貿易の拠点としての発展が見込まれています。

ダナン~クアンガイ高速道路ズンクワット経済区
また、ベトナム南北高速道路のうち最優先整備路線の一つであった、ダナンと中部ベトナムの主要都市でズンクワット経済区を要するクアンガイ省とを結ぶ高速道路(ダナン~クアンガイ高速道路)が全線開通しています。
ベトナム政府はズンクワット周辺地域を川上から川下まで一貫した石油関連産業の一大産業集積地としたい意向があります。

以下、ベトナム中部に進出した場合のメリットと留意点のまとめになります。

 

 

 

 


参考:JBIC ベトナムの投資環境(2017年8月度版)

【3】進出形態ごとの比較

1)進出形態による比較

ベトナムに進出する場合、駐在員事務所・支店・現地法人等を自ら設立するという選択肢のほか、既存の外資系企業やローカル企業を買収するM&Aの手法が考えられます。

(1)新規設立とM&Aの比較
まず、新規設立とM&Aを検討する際の比較ですが、進出それ自体のための手続き、事業開始までの期間という点から考えると実は、ほぼ違いがありません。
M&Aの方が、早く手続きが完了するイメージがあるかもしれませんが、実際は同じくらいの期間がかかります。どちらも、外資系であるあなたが事業を開始することが問題ないか、政府が検討し承認するプロセスは同じだからです。
また、ライセンスの取得についてもM&Aだから外資規制を免れることができるわけでもありません。この点については、名義借り(ノミニー)でローカル会社設立後に、外資化する際にも同じことが言えます。

もっといえば、買収手続き自体の前に、対象企業に係るリスクや、買収価格の妥当性を評価するためにおこなうDD(デューデリジェンス)の時間的、金銭的コストや、譲渡条件の交渉のための期間などを考えれば、M&Aが本当に良いのかどうか、慎重に判断をする必要があります。
特に、買収対象企業がベトナムローカル企業の場合、監査を受けておらず、法務や会計・税務のリスクが高く、DD(デューデリジェンス)にかかる時間的、金銭的コストもより高くなります。

そのため、M&Aを選択するかどうかは、既存取引先や商圏などの販路や、安価で安定供給可能な仕入先との契約関係など、一から事業を立ち上げるよりもスピーディに事業を開始できるというメリットが、DD含めると手続きが長期間になりうるというデメリットを、上回るかどうかで決めるべきですね。

(2)新規設立の形態別(駐在員事務所・支店・現地法人)の比較

駐在員事務所は、簡単にいうと本社の出先拠点で、自ら利益をあげるための活動ができない(=商売ができない)が、比較的簡単に設置でき、運用コストも少なくて済むというメリットがあります。
また、本邦本社である設置外国企業と同一の法人格として設置されるため、単独で販売契約や、仕入契約、雇用契約などの主体になれず、本社自体に契約に基づく権利・義務が全て帰属し、当然に契約に基づく全責任を負います。
一方で、法人を設立するよりも短期間かつ低コストで事務所の設立が可能で、駐在員の個人所得税申告を除き、法人税、VAT(付加価値税)および税務申告のための費用や、監査などの費用もかからないため、運用コストは抑えられます。

そのため、ビジネスモデルが固まらない、販路開拓に時間がかかるなどの理由で事業を開始するリスクが高い場合に、市場調査により拠点開設の必要性を検証したり、前払いの業務委託契約などの履行を、信頼できる駐在員を派遣してモニタリングするような場合に適しています。
市場調査をおこなった結果、市場性があると判断して法人を作ることになった場合、駐在員事務所を閉鎖するために厳しい税務調査を受けたりなど、相当程度の時間とコストがかかり、あらたに法人を設立するコストも当然かかります。
したがって、明らかに法人を設立して事業を開始するにはリスクが高いか、そもそも事業の開始とは異なる目的(契約履行のモニタリングなど)での進出等でない限り、最初から法人設立を検討する方が、トータルのコストは低く抑えられる可能性があります。

言い換えれば、法人を設立するには事業リスクがめちゃくちゃ高く、撤退の可能性が十分高い、そもそも事業を始めるつもりがないなどの場合は、コストを最低限に抑えられる駐在員事務所を活用すべきでしょう。

※支店は、独立の法人格を有しない点では、駐在員事務所と同じであるものの、営業活動をおこなうことが認められます。この形態が認められるのは、銀行業・保険業・航空会社・教育および旅行業などごく一定の業種に限定されるため、説明は下記表のみに留めます。

会社 駐在員事務所 支店
法人格 ある なし(設置外国企業と同一の法人格) なし(設置外国企業と同一の法人格)
期間 50年(70年まで延長可) 5年(延長可) 5年(延長可)
活動範囲 投資登録証(IRC)の範囲内で営業活動可能 ・市場調査
・連絡業務
・事業、投資機会の促進
※利益の発生する営業活動はNG
支店設置許可証の範囲内c
責任範囲 出資者の、出資額の範囲内 設置外国企業が、無限責任を負う 設置外国企業が、無限責任を負う
設立に係る時間・コスト ・業種によって異なるが、一般的に数か月~1年
・特別な業種をのぞき、駐在員事務所より高い
・業種によって異なるが、一般的に3~数か月(法人設立より短期間)
・特別な業種でなければ、数千㌦~1万㌦程度(法人設立より安い)※将来法人設立する場合、閉鎖に係る手続き、税務調査などのコストが発生
・業種によって異なるが、一般的に3~数か月(法人設立より短期間)
・特別な業種でなければ、数千㌦~1万㌦程度(法人設立より安い)

 

2)会社の法的形態による比較

上記で会社(法人)の設立を検討することとなった場合、ベトナムでは、国営企業以外では、下記の4つの会社の形態が統一企業法という法律によって規定されています。

①有限責任会社(1人・2人以上)
②株式会社
③合名会社(パートナーシップ)
④個人企業(私人企業)

ここからは、一般の日系進出企業の95%以上を占める、①と②に絞ってご説明しますね。
有限会社と株式会社ざっくり比較すると下記となります。

【1】有限責任会社と株式会社の比較(出資者の権利を自由に調整できるか、上場できるかの比較)

1)有限責任会社(1人・2人以上) 2)株式会社
最高意思決定機関 社員総会 株主総会
出資者 1人、2人、3名以上(50名以下) 3名以上必須 上限なし
出資者の権利 ・出資額に応じた権利(払込資本)の大小による
・出資額以外同じ性質
・株式の発行が可能
議決権・配当などについて優先株などの種類株式の発行も可能
取締役会 なし あり
株式発行・上場 不可 可能
設立にかかる期間 業種により異なるが、株式会社より総じて短い 有限責任会社よりも、設立手続が複雑で、時間がかかる

※ポイント:上場の可否、出資額の多寡によらない株式設計の必要性、設立にかかる手間、株式会社
出資者11人以上の場合の監査役会長がベトナム会計士である必要性などを勘案してどちらがよいか決
めることとなります。

【2】有限責任会社(1人・2人以上)の比較(組織設計・運用の簡便さ、税務上の差異による分類)

1)1人有限責任会社 2)2人以上有限責任会社
最高意思決定機関 (1)会長(委任代表者が1人の場合)
もしくは
(2)社員総会(委任代表者が複数人の場合)
社員総会
出資者 1人 2人以上50名以下
法定代表者 会長または社長から 社員から
会社の機関 監査役が必要 社員が11人以上の場合、監査役会の設置が必須(※10人以下の場合、監査役会の設置は任意)
持分の譲渡可否と手続き 譲渡可能・譲渡承認不要
(1人社員のため)
譲渡可能・譲渡承認必要
(他の社員がいるため)
【税務】出資者への給与支払い 法人の損金にならない
※損金不算入の給与支払いをするか、配当受領まで待つか。
役員や管理者として、会社のために労働する場合、法人の損金として処理が可能

※ポイント:出資者の数、譲渡承認の要・不要、法人の損金とできる出資者への給与を支給できる
場合があるかどうかによる分類となります。備考ですが、1人有限会社の場合の監査役の設置は、義
務ではありますが罰則規定がないため設置していない場合が多く見受けられます。また、法定代表者
になれる条件が法定されていますが、定款で別途定めることで、法定されている条件以外の人でも、
法定代表者になることができます。

3)独資か、合弁か、名義貸しか

会社の法的形態による分類から少し離れて、①独資(自己資本100%)か、②合弁(自己資本0%超100%未満)か、③名義借り(ローカル資本100%)※を考えるうえで、もっとも大事なポイントは、成長の早いベトナムにおいて、いくつかの点におけるスピードのメリットと、一方で生じるいくつかのリスクやデメリットを比較することにあります。

※名義貸し(実質的に資金を拠出する日系企業にとっては名義借り)...ベトナムでは名義借り(ノミニー)は、
きちんと法定され、名義借り人の権利が法的に保全されているわけではありません。したがって名義人がその
会社の正規の所有者であり、名義人との合意事項が法律上保護される保証はどこにもないのです。
名義人との関係が悪化してしまうリスクは、名義借り人が当然取ることになります。とくに、立ち上げ時に損
失が発生している間は経営に口を挟んでこない名義人が、黒字化してから口出しするようになり、関係がこじ
れてしまうケースはよくあります。

まず、①独資(自己資本100%)と③名義借り(ローカル資本100%)を比較すると下記のとおりとなります。
(メリット)

①独資
③名義借り
ともに、決議(意思決定)のスピードが速い
①独資 設立時に外資規制をクリアし、設立後継続して監査を受けており、法律・会計・税務上のリスクが低い。
エグジット(事業売却・譲渡)し易い
③名義借り 新しい事業領域、外資規制の多い分野で、法律上、行政上の規制が緩く、会社設立・事業開始がスムーズ(上記以外の分野ではこのメリットは少ない)

(デメリット)

③名義借り 名義人との関係悪化により、意思決定の結果が反故にされるリスクがある
(※あくまで会社の所有者は法的には名義貸し人で、収益化後に関係が悪化し乗っ取られたり、合意事項を反故にされるリスクがあることに留意が必要です)
③名義借り 監査や、行政指導が入っていないため、法律・会計・税務上のリスクが高く、将来的な資金調達(融資・増資)や、エグジットの難易度が高い(※①独資のメリットとは裏表の関係です)
①独資 現地パートナーがもつ資源(販売網、人脈、政府関連機関との交渉力)などをあてにできず、自ら一から開拓せねばならず時間がかかる

また、②合弁(自己資本0%超100%未満)と、①独資(自己資本100%)と③名義借り(ローカル資本100%)を比較すると下記となります。
(メリット)

②合弁 最初から現地パートナーがもつ資源(販売網、人脈、政府関連機関との交渉力)が活用でき、短期間に事業を立ち上げることができる(①独資の場合時間がかかる、③名義借りの場合名義貸し人のネットワークを使える場合もあるが、期待できないことが多い)

(デメリット)

②合弁 パートナー企業と収益をシェアする必要があり、独占できない。(①独資③名義借りは不要)
②合弁 双方が取引の当事者のため、利益相反の可能性があり、利益への貢献度の測定に困難を伴う
②合弁 意思決定に時間がかかる。(①独資③名義借りでは迅速な決定が可能)
②合弁  事業運営はパートナー企業主導のため、モニタリングの実効性の担保、コスト負担などの問題がある。(①独資③名義借りは不要)

②合弁の留意点

上記が資本比率による比較となりますが、あらためて②合弁についてそのメリット・デメリットを再掲すると、メリットはやはり現地パートナーがもつ資源を活用でき、短期間で事業が立ち上がるということになるでしょう。

但し、ここでそのメリットを享受するために当然留意が必要なのは、合弁事業のパートナーに具体的に求めるものを徹底的に考えることであり、それは相手も同じなのです。そして、それは反対にこちらから提供できるものを徹底的に考えることでもあります。

外資の出資比率規制に対して、資本を提供する、販路のネットワークを手に入れる代わりに、生産設備や技術を提供するなど、共通の目的の達成のためにお互いが持ちえないものを認識し、それを掛け合わせることで1+1=10にも20にもして共通目的の達成がはかれるのが②合弁の真の価値です。

一方で、上記の表のとおり、②合弁には一見デメリットが多いです。収益をシェアしなければならないし、パートナー主導の事業運営を管理するコストもかかります。そして、何よりゴールがずれていると、意思決定に時間がかかります。
したがって、双方の目標を擦り合わせ、どれだけ共通のゴールを共有できるか、その程度により、意思決定を株主総会に委ねる場合、普通決議が可能な持ち分比率(2人以上有限責任会社で65%以上)や、特別決議が可能な持ち分比率(2人以上有限責任会社で75%以上)とする必要があるのではないか、なども戦略的に検討する必要があります。

そのため、メリットを享受するための役割分担や、デメリットをできるだけ最小化するための戦略的な検討を、メリットが上回るまで考え抜ければ、合弁による進出にも十分勝機があるといえるでしょう。そうでなければ、まずは製造や販売の委託などの外注契約や、業務提携などから始めるというのも戦略的なリスク回避策になり得ると考え、十分な検討をすべきです。

第3回は3)会社設立の具体的な手順や規制事項(https://yokoyama-kkg.com/archives/28406)

 

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