【2019年版】これだけは是非チェック!!ベトナム進出前・進出後に必要な当地医療事情
【お知らせ】
最終版-2019年一般向け-ベトナム医療情報
Xin chào シンチャオ!! YOKOYAMA KAIKEI(横山会計) 代表の横山(ヨコヤマ)です。
あなたは、ある日大事なプロジェクトを任され、ベトナムへの海外駐在を命じられます。
また、一念発起して、ベトナムで新たなビジネスをスタートさせるため、起業準備に取り掛かっています。
どちらも心オドル未来に思いを馳せ、これから起こる悲劇、、そう
「予防接種も受けずに狂犬病の犬に噛まれ、生命の危機にさらされる。。」
「保険にも加入せず、心筋梗塞で設備の整った日本の病院に緊急搬送。1,000万円の出費で起業を断念。。」
など不測の事態に思いも至らず。。
やはりベトナムビジネスのスタートは、健康が担保されていないと始まらないでしょう!!
・ベトナム進出を検討されている企業の担当者、事業主そして、医療従事者の皆さま
・ベトナム駐在・出張の決まった駐在員、出張者の皆さま
・既にベトナム進出をされた在留邦人の皆さま
少しでも当地ベトナムでのビジネスを円滑に進めるためにも、この度Clover Plus 所属アドバイザー 中島敏彦医師(医師としてはRafflesmedicalホーチミンクリニック勤務 日本国医師免許・Viet Nam Medical License保有)から、寄稿いただいたこちらの情報を、是非チェックしてみてください。
中島医師からの、これまでの海外での医療従事経験を通して得られた、海外、特にベトナムに関する医学的情報を現在・未来に活躍する日本人の方たちと共有するとともに、ベトナム邦人社会のさらなる発展の一助とするため、広く情報を発信されたいとの強い思いが、弊社の掲げる「素晴らしき日本の良さを世界に」の思いと繋がる点が多く、このたびのご寄稿をお受けすることとなりました。
目次
【1】海外で暮らすリスク
1)2017年海外邦人援護統計より
・2017年における海外における日本人の死亡者数477人、その死因の1位は疾病で267人(56.0%)であった。
–2008年から2017年の10年間の死亡原因は疾病が全体の8割近く。
–一般的には心筋梗塞等の虚血性疾患と脳卒中等の脳血管疾患が多いといわれている。
・青年期よりも壮年期、高齢期の方が多い。
・また自殺による死亡も1割近い(2位)。
–年齢別では20代~30代、
–性別では女性が多い。(在NY総領事館のホームページより)
引用・参考文献
・2017年(平成29 年)海外邦人援護統計
・JAPAN BUSINESSPRESS2015.06.03
・海外で暮らすことにより増加する生活習慣病悪化のリスク
• 車での移動が多くなることにより運動の機会の減少。
• 日本からの出張者の対応(夜や週末の付き合い)の常態化による食生活の悪化。
• 喫煙習慣の悪化(途上国ではタバコが安いことが多い)。
• 単身赴任者は特に生活が乱れやすい。
• 高血圧や糖尿病などの生活習慣病の治療からの脱落。
–多くの民間医療保険(海外旅行傷害保険など)は糖尿病・高血圧・高コレステロール血症・狭心症などの慢性的な病気に対する補償が180日まで。
–これにより病院に行かなくなり、気が付かないうちに病状が悪化し、突然致死的な疾患(脳梗塞や心筋梗塞など)が発症する。
–WorkPermit(労働許可証)の発行にも影響する。
引用・参考文献
・海外渡航中はガンでも治療費補償、180日ルールのメリット・デメリットとは;
海外旅行保険のブログ_保険のプロが教える・知って得する
2)生活習慣病(高血圧・糖尿病など)になると致死的疾患(心筋梗塞・脳卒中など)のリスク上昇
引用・参考文献:MGP株式会社生活習慣病とは?
3)メンタルヘルスの問題に関わる要因
海外でみられるストレスの原因は複合的に出現することがある。
• 既往歴、日本国内における精神科受診歴
–症状が重篤な場合だと飛行機に乗れない場合がある。
• ベトナムの交通運輸省からは精神疾患を伴う患者は搭乗に際して医師や家族の付き添いを求めたり、搭乗拒否ができるという通達が出ている。
–来越後日本国内の主治医との連携が可能か?
• 現地で治療が中断しないように注意を払う。
–現地医療機関の受け入れ能力の確認
• 現地で常用薬が入手可能か?治療継続、緊急対応ができる医療機関はあるか?
• 仕事に関するもの
–異文化にさらされるだけでなく、業務内容も日本にいるときとは大きく変わる。
–現地と本社との板ばさみ。
–業務外のアテンド(出張者の相手など)。
–職場内にいる日本人は少人数のことが多いの、で人間関係がこじれると修復困難なことがある。
• 家族やパートナーに関するもの
–子どもの教育・進学問題。
• 海外で就学開始後に発達障害が明らかになったり、適応障害を生じることがある。ベトナムではタイやシンガポールと比べ日本語サポートが乏しい。
–配偶者のキャリアの分断。
–家族が現地に適応できない。
• 使用人との問題、狭い日本人社会に対するストレス・不適応。
引用・参考文献
・ 海外赴任者のメンタルヘルス対策 ―異国での勤務をチャレンジングで成長する機会にするために;Business Labor Trend 2017.10 .
・ 海外の日本人とメンタルヘルス 外務省 吉田常孝医務官
・誰にでも生じうる移住に伴う精神状態の変化
①移住期:ストレスを感じている暇もない時期
好奇心、極度の緊張・高揚状態にあり、無我夢中。生活の準備などに忙殺される。
②不適応(不満)期:イライラ、抑うつを感じやすく、心身の不調が出やすい時期
移住期が一段落、日本と比較して新しい環境の欠点が目に付く。
疲労が蓄積して肩こり、腰痛、不眠を始めとして不調を訴えがち(身体化障害)。
③諦観期:現地の良い面も悪い面も認識しはじめる時期
自分の落ち着きどころを探し始める。ここからが本格的な適応のはじまり。
④適応期:海外に違和感なく溶け込んでいる時期
生活や気持ちの基盤が移住先にでき、移住先にがんばって自分を合わせるのではなく、自分の人生を歩んでいる感覚をもつことができる。
⑤望郷期:海外に慣れた後に日本が懐かしくなり憂鬱な気分になる時期
引っ越し準備や日本再適応への不安が引き金になり不安定になることがある
引用・参考文献
・仲本光一先生海外生活におけるメンタルヘルス
・【プロの眼】渡航メンタルヘルスのプロ勝田吉彰第4回異文化への適応パターン
・精神の症状は身体にも現れる。(精神に現れず身体だけのこともある)
・海外でのアルコール関連問題
海外に住むとアルコール摂取量が日本にいる時よりも増えることがある。
- 職務関連(接待営業、日本からの出張者の相手など)で飲酒する機会が増える。
- 知りあいや娯楽が少ないため飲酒に走る。
アルコール依存症のスクリーニングツール:CAGE
1.これまで自分の飲酒量を減らしたほうがいいと感じたことはありますか?(cut -減らす)
2.これまで周りの人からあなたの飲酒について批判され、そのことに悩まされたことはありますか?(annoyed -悩まされる)
3.これまであなたは飲酒することに罪悪感を感じたことはありますか?(guilty -罪悪感)
4.これまで、朝起きてすぐ神経を落ち着かせるため、または二日酔いから逃れる為に朝酒が必要だと感じたことはありますか?(eye-opener -朝酒)
1項目陽性:リスクが高い。
2項目陽性:問題あり。支援が必要。
•他にも、AUDIT(Alcohol Use Disorder ldentiicauonTest)やTWEAKなどがあり状況により使い分ける。
引用・参考文献
・NNAカンパサールアジア経済を視る海外赴任とアルコール問題
・簡易版「アルコール白書」
・MatuaRaki,CAGE and AUDIT drinking questionnaire (in Japanese)
・薬物関連問題
• 海外の繁華街においてはバー、ディスコ、レストラン、カジノ等の娯楽施設において麻薬、覚せい剤、笑気ガスなどの薬物使用や性犯罪、賭博等の温床となっていることがある。このような場所にそうとは知らずに入り込んだり、抜け出せなくなるケースを聞くことがある。
• 薬物依存を形成したり犯罪に巻き込まれるだけではなく、注射の回し打ちなども行われていることがあり、HIVやB型肝炎、C型肝炎などが血液感染するリスクもある。
引用・参考文献
・(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター
・メンタルヘルスの問題が 疑われた・生じた場合
• 疑うべき精神の症状としては意欲の低下、不安・イライラ感、集中力の低下、自分を責めやすい、抑うつ的な気分などが続くとき。
• メンタルヘルスの問題の対応には母国語対応が望ましい。
–日本に帰国して治療を受けることが第一選択。もしくは近隣諸国(タイ・シンガポール)の邦人社会の医療機関やWithKidsやGroupWithなどの利用。
• ベトナムにおける精神医療は充実していない上に日本語対応も不備なため宛にはならないが、いざというときはためらわず受診する・させる。
• 精神的な不調を来した場合は、まずは帰国させ本邦で治療を開始することが最善。
–ただし本人から自己申告しない例も多くみられ、周囲の人間が気づかないとそのまま現地で治療が継続されることになる。
–医療機関から職場に報告する義務はない。むしろ守秘義務違反となる。
• 精神の症状は身体にも現れる。
–精神の不調に気づかずに、様々な身体症状だけ訴えることもあるので慢性的な不調がある場合にも疑う必要がある。
引用・参考文献
・海外赴任者のメンタルヘルス対策―異国での勤務をチャレンジングで成長する機会にするために;BusinessLaborTrend2017.10.
・海外の日本人とメンタルヘルス外務省
【2】ベトナムで暮らすリスク
1)ベトナムと日本の医療の違い:WHO Countries statistics、Aging and Healthより
・ベトナムの邦人社会の特徴
• 2017年10月1日現在の海外在留邦人数調査統計において17,266人(前年+6.9%)の在留邦人が住んでおり、国別にみると16位であった。
• しかしながら日本人会などのセーフティーネットが存在せず(商工会はあるがサービスの対象は会員企業のみ)、時に日本語の商業誌などで質の悪い医療情報が出されるため医療的には非常に危険な状態である。
• また現地在留邦人も大企業の駐在員、海外経験の乏しい中小企業の駐在員、現地採用者などと様々であり、各々の持っている海外旅行者保険のサービス範囲もまちまちである。時に一定水準を持った外資系クリニックを受診するには不十分なサービス内容のこともある。
-稀ではあるが海外旅行者保険を持たずに過ごしている在留邦人も見かけることがある。この様な方が重病を発症した際には、国際水準相当の病院で治療を受けることが出来ず、現地の病院で言葉も通じないまま入院加療されるケースがあり問題となっている。
引用・参考文献:
海外在留邦人数調査統計(平成30年要約版)
・邦人の死亡件数・死因(2018年)
在ベトナム大使館/在ホーチミン総領事館からの情報
ベトナム全土:12件12人(※在ベトナム大使館で把握した案件に限る)
【年齢別】 70代(4人)、60代(3人)、40代(4人)、20代(1人)。全員男性。
【属性】 長期在留者(7人)、旅行者(3人)、出張者(2人)
【死因】 心疾患(心不全・心筋梗塞など6件)、脳出血(くも膜下出血など4件)、
その他(窒息1件、自殺1件)
(参考)ホーチミン市の死亡件数
5件5人(※在ホーチミン総領事館で把握した案件に限る)
【年齢別】50代(2人)、40代(1人)、30代(1人)、20代(1人)。全員男性。
【属性】長期在留者(4人)、旅行者(1人)。
【死因】病死(心疾患・癌等3件)、死因不明の突然死(1件)、自殺(1件)
引用・参考文献:
•ベトナムの治安情勢と安全対策
梅田 邦夫 駐ベトナム日本国特命全権大使
・日本人街
• ベトナムは娯楽が少ないため食事や飲酒、売春などに傾倒しやすい環境がある。
• ハノイやホーチミンといった主要都市には日本人街が形成されており、深夜まで営業しているレストランや飲み屋が多数存在する。また違法な売春行為を行う店なども日本人街には多数存在する。
・外国人街
• 同様に英語、中国語、韓国語話者の多く集まる地域がある。
• 特にバックパッカー街では麻薬や覚せい剤、笑気ガス(バルーン)といった違法薬物を提供している店があり時々一斉検挙されている。
2)交通におけるリスク
日本の2倍以上の死亡事故が生じている。
• 2017年のベトナムでの交通事故による死亡者数は8000人以上(正確な統計
見当たらず)。
• これに対して日本では2017年に3694人が交通事故により死亡。
対策
• ベトナムの交通ルールを守り、信頼のできる交通機関を利用する。
⇒ 車ではシートベルトを締める。
⇒歩行者が道を渡るときは、車やバイクをよく見ながら一定の速度で歩く。
• いつでも病院に行けるようにパスポートの原本、もしくは携帯電話にパスポートのPDF、そして保険にかかわる書類(カード)を携帯しておく。
引用・参考文献
・ WHO Violence Injury Prevntion / Road Safety Status in 2015 in Vietnam.
・ 警察庁平成29年中の交通事故死者数について
・ ベトナムのNews Paper Saigoneer: Saigoneer より
・ Health Information for Travelers to Vietnam Traveler View
3)気候と環境によるリスク
• 高温多湿:脱水・熱中症のリスク
• 上下水道の不備:感染症のリスク
• 食事のリスク:食中毒・寄生虫感染のリスク
• 雨期に蚊が増加:
・ 全土でデング熱・日本脳炎のリスクあり。
・ 中部高原や東南部などの農山村地帯でマラリアのリスク。
• 街中の鶏や犬の放飼い:狂犬病・鳥インフルエンザのリスク
• メコン川流域:その他の河川:寄生虫感染のリスク
• 大気汚染によるリスク:
・ 短期間の暴露であっても鼻炎、喘息をはじめとしたアレルギー症状並びに循環器・呼吸器の基礎疾患があると悪化しやすい。
・ また汚染レベルが高い時には特に小児・高齢者は気道の感染症にかかりやすくなる。
引用・参考文献
・厚生労働省 FORTH ベトナム・カンボジア情報
・CDC: Health Information for Travelers to Vietnam Traveler View
・大気汚染
• 特にハノイやホーチミンなどの都市部や工業地 域においては粉塵公害は都市部で拡大の一途を辿ってる。
• ハノイの方がホーチミンよりも悪い傾向にあり、特に乾季がひどくなる。
• 2018年にWHOから、ベトナムにおける大気汚染に関連する死亡は毎年6万件を超えると報告があった。
• 大気汚染は心疾患、脳卒中、肺がん、慢性閉塞性肺疾患、肺炎などによる死亡を増加させる。
• リアルタイム気質指数ビジュアルマップなどから大気汚染の情報を知ることができる。
・対策
• N95マスクがあるが、完ぺきではない。
– CDC Yellow book Chinaの頁参照。
• 下記はリアルタイム気質指数ビジュアルマップの見方
– 空気の汚染具合と身体状況に応じて野外活動について考慮する。
・大気汚染に関する引用・参考文献
• 世界の大気汚染:リアルタイム気質指数ビジュアルマップ
• Air Now
• CDC Yellow book より
• Lung Cancer, Cardiopulmonary Mortality, and Long-term Exposure to Fine
Particulate Air Pollution
C. Arden Pope III, PhD; Richard T. Burnett, PhD; Michael J. Thun, MD; et al Eugenia E. Calle, PhD; Daniel Krewski, PhD; Kazuhiko Ito, PhD; George D. Thurston, ScD JAMA. 2002;287(9):1132-1141.doi:10.1001/jama.287.9.1132
• ヘイズによる大気汚染の健康影響とその対策 兵庫医科大学公衆衛生学 島 正
之 先生
• 中国におけるPM2.5に関する説明・相談会 ~PM2.5による健康影響~ 京都大学
大学院 医学研究科 金谷 久美子 先生
・感染症
一般的に言われているリスク
• 汚染された食事・水からアメーバ赤痢、A型肝炎、コレラに感
染があるので安全な食事を選ぶ。
• 蚊などの虫を媒介した感染症(デング・ジカ・マラリア)がある
ので蚊に刺されないようにする。
• 飼い犬ですら狂犬病ワクチンを打たれていないことが多いの
で、狂犬病患者が毎年発生する。
• また鳥インフルエンザも多く発生するため市内でも鶏等に近
づかない。
• 河川には寄生虫がいるので、入らない。
引用・参考文献
・海外旅行者・帰国者のための感染症予防ガイド
・厚生労働省 FORTHによるベトナムのデータ
・なぜ感染症が流行し易い?
• 高温多湿な夏の気候は伝染性の病気が流行するのに非常に好都合な
環境である。
• 出入りする旅行者・出張者が増えたり、下水設備の悪さも影響する。
• 急速に発展しているが不衛生な場所もまだ多い。
・感染症に対する基本的な対策
1. 手洗いが基本。
2. 生水、氷、カットしてあるフルーツ、生野菜にご用心。
3. 食べ物は十分に加熱(加熱後であっても冷めたものは危険)。
– 食中毒のリスク
4. 水遊びにご用心、特にはだしは禁物。
– 破傷風・寄生虫等のリスク
5. 虫(蚊、ハエ、ダニ、ノミ)を介した感染症に注意。
– デング、日本脳炎などのリスク
6. 動物・鳥を媒介した感染症に注意。
– MERS、インフルエンザ、狂犬病など
7. 人を介した感染症に注意。
– HIV、B型肝炎、梅毒などの性行為感染症のリスク
8. 感染の流行状況に気を配る:Health Map
引用・参考文献
海外旅行者・帰国者のための感染症予防ガイド
・飲食に伴う感染症(下痢・嘔吐など)
• 高温多湿の気候のため病原微生物が増殖しやすい環境に加え、衛生管理が悪い。
• ベトナムでは特に予防接種としてA型肝炎ワクチン・腸チフスワクチンの接種が必要で
ある。
• 避けるべき飲料・食事。
⇒特に路上・ビュッフェ形式・外国人が少ない店はリスクが高い。
⇒ 水道水・氷入り飲料
⇒ 生もしくは十分な加熱をされていない肉、シーフード、生の野菜、自分で皮をむいていない果物
⇒ 豚の生血入り料理(髄膜炎や敗血症のリスク)
• 捕捉として海産物アレルギーのある人には多くのベトナム料理がリスク(シーフードソ
ースが多く使われているため)。
病院受診が特に必要な場合
• ぐったりしている、高熱がある、重度の腹痛、血便、大量の下痢もしくは嘔吐(つまり脱 水のリスク)のいずれかがある場合。
• 小児(特に5歳未満)、高齢者(55歳以上) 、および基礎疾患を持っている人。
・寄生虫による感染症
• 便のしみ込んだ土壌に住む、蠕虫(回虫・鞭虫・鉤虫)による感染症がベトナムには多い。2010年のWHOの調査によると人口の75%に蠕虫が感染していた。
• 感染経路と予防
– 寄生虫の虫卵を含む土で汚染された食事(生野菜など)を摂取したり汚染された土に触った手から口に虫卵が入ったり、小児においては遊びの最中に汚染された土を飲み込むことなどがある。したがって不衛生な所で食事をしない、食事をする前によく手を洗う、十分に加熱されたものを食べる、加熱せずに食べるもの(生野菜など)についてはよく洗うなどが予防法となる。
– また寄生虫の種類によっては皮膚から侵入してくるものもあるため裸足で歩き回らない、水溜りなどに踏み込まないことも予防となる。
• 症状は寄生虫の種類によって異なるが、症状がないことからしつこい咳、喘鳴、慢性的な腹部症状、体重減少、貧血などさまざまである。
引用・参考文献
• IMAT Country Health Advice Vietnam
• 厚生労働省 FORTH 蠕虫症について
• Don’t let worms wriggle in; Viet Nam News Sep
・駆虫薬について
• 寄生虫の感染率の低い日本では便検査や血液検査を行って虫卵などが検出された時などに駆虫薬 を服用するが、ベトナムは感染率が高率のため、幼児教育施設では政府の方針で半年に一度義務 的に配布・投与している。それ以上の年齢に関しても推奨されている。
• ベトナムではMebendazoleもしくはAlbendazoleが利用可能である。
引用・参考文献
• IMAT Country Health Advice Vietnam
• 厚生労働省 FORTH 蠕虫症について
• Don’t let worms wriggle in; Viet Nam News September 26 2016
・カタツムリを介した広東住血線虫の感染
• アフリカマイマイを食べたり、触っただけでも感染することがあると報告さ
れている。
• サイズが大きく日本ではあまり見ないため子供が興味を持ちやすい。
• 約2週間ほどの潜伏期の後、幼虫が消化管から血液やリンパ液を介して脳・髄膜・眼球などに移行し,発熱,頭痛および髄膜炎症状、脳神経症状などが生じる。
引用・参考文献
・Angiostrongylus cantonensis Is an Important Cause of Eosinophilic Meningitis in Southern Vietnam; Angela M. et al. Clin Infect Dis. 2017 Jun 15; 64(12): 1784–1787.
・ NIID 広東住血線虫症
・ Snails carry brain-eating roundworm, doctors warn; THANHNIEN NEWS July 15, 2014
・インフルエンザ
• 赤道に近い国々(シンガポール、ベトナムなど)では年に2回インフルエンザの流行がある。
ベトナムの新型インフルエンザのリスク
• 2009年から2010年に世界的に流行した豚インフルエンザ(A型H1N1亜型:ヒト感染あるが通常のインフルエンザ並みのリスク)や鳥インフルエンザ(H5N1亜型:致死率60%、 H7N9亜型ウイルス:20~30%)。
• ベトナムでは1年を通じて各地で家禽類のH5N1型⿃インフルエンザの流⾏がみられる。これによりヒト感染例も散発的に報告がある。
• A/H5N1インフルエンザ・A/H7N9インフルエンザ等の流⾏の際に隔離・⼊院治療先は、国⽴の指定病院に限られる。また感染すると治癒して他人に感染するリスクがなくなるまで日本に帰れない。
引用・参考文献
・厚生労働省ホームページ 鳥インフルエンザA(H5N1)について より
・対策
• 生後6ヵ月以上の者はインフルエンザワクチンを受ける(最重要)。特に5歳以下の子供、65歳以上の高齢者、妊婦、喘息・呼吸器疾患・心疾患のある方。
• 具合の悪そうな人に近づかない。
• 生きた鳥や飼われたり売られているところに近づかない。
川や海辺で死んだ野鳥や家禽に近づかない。
生や完全に加熱されていない(黄身が流れるようではダメ)卵や鶏肉をたべない。
• インフルエンザに罹った場合、人に近づかない(病院に行くのは別)。
• 公共の交通機関(飛行機など)を利用しない(航空会社ごとに規定がある)。
引用・参考文献
CDC Influenza
・蚊媒介感染症
• 蚊媒介感染症とは、感染蚊に刺されることにより感染する感染症の総称。
• ベトナムを含む熱帯・亜熱帯地域で広く流行している。
• ベトナムに存在するのはジカウイルス感染症、チクングニア熱、デング熱、日本脳炎、マラリアなどであり、赤字は特に問題になることがあり注意が必要。
• 共通する予防法として長袖、長ズボンを着用し肌の露出を少なくする、適切な防虫剤を使用するなど。
– 物理的に蚊の侵入を防ぐ蚊帳や虫よけ加工済み蚊帳(インセクトシールドやオリセ ット)も有効。
引用・参考文献
・ 厚生労働省 蚊媒介感染症の診療ガイドライン
・ 厚生労働省 FORTH 蚊媒介感染症について
・ CDC Yellow Book Chapter 4 参照
・デング熱(Dengue fever)
• デングウイルスをもつ蚊(ネッタイシマカとヒトスジシマカ)に刺された3-14日後に高
熱で発症。→帰国してから発症する上、日本の一般病院では診断が難しい(検査キットがない)。
• ベトナムでは1年を通じて発生し、特に夏の雨期にピーク。
• 再感染時にはデング出血熱を発症しやすいといわれている。
・ジカ熱(Zika Fever)
• ジカウイルスをもつ蚊(ネッタイシマカとヒトスジシマカ)に刺されたおよそ2-7日後に高熱で発症。
• デングウイルスとよく似た症状だが重症化することは少ない。
• 軽度の発熱、発疹、結膜炎、関節痛、筋肉痛、倦怠感、頭痛などが主な
症状。
• 気を付けるべき事項として
– 時にギランバレー症候群(両手両足に力が入らなくなる)を起こすことがある。
– 妊婦に感染すると児に小頭症などの先天奇形や神経学的異常を生じることがある。
• ベトナムにおいても症例報告としてDak Lak省において妊娠中にジカウィルスに感染した可能性の高い女性から生まれた児において小頭症や発達遅延の症状が確認されている。
引用・参考文献
・ 厚生労働省 蚊媒介感染症の診療ガイドライン
・ 厚生労働省 ジカウイルス感染症に関するQ&Aについて
・ CDC Zika and Pregnancy
・ CDC Men & Zika
・ The Lancet, Zika virus infection and microcephaly in Vietnam
・ジカ対策
• 特効薬・ワクチンはないので感染しないことが最重要。
• 妊婦はベトナムへの旅行を控える。
• 基本はデング対策と同じ。
• 性行為における注意:ジカ熱の症状が現れなくとも、感染は否定できない!
女性側
• 流行地域に滞在中はコンドームを使用するなど、安全な性行為を心がける。
• 流行地域から帰国した女性は帰国後6ヵ月間は妊娠を控える(今後さらなる研究により短縮される可能性あり)。
男性側
• 6ヵ月間は精液中にウィルスが排出されている可能性があるので、妊婦との性行為、妊
娠目的の性行為は控え、必ずコンドームを着用する。
引用・参考文献
・厚生労働省 蚊媒介感染症の診療ガイドライン
・厚生労働省 ジカウイルス感染症に関するQ&Aについて
・CDC Zika and Pregnancy
・CDC Men & Zika
・デング・ジカウィルス対策
• 蚊が発生しないようにする(ボウフラの駆除)。
• 明るい色の長袖・長ズボンを着用。
• DEET、IR 3535、Icaridin の入った虫よけを使う。特
にIcaridinは年齢制限がなく使いやすく日本でも販売
されている。
• 網戸や蚊帳を利用する。
• デング熱ワクチンに関してはベトナム保健省は導入
未。
• おかしい(高熱・寒気・頭痛・嘔吐・下痢・腹痛・血便・目が黄色いなど)と思ったら病院に行く。
引用・参考文献
・WHO Viet Nam Update #3 on Dengue 28 August 2017
・デング・ジカウィルスに関する
引用・参考文献
デング
• 厚生労働省 FORTH デング熱について
• CDC Dengue in Vietnam
ジカ
• 流行地情報:CDC Travelers’ Health
共通
• 虫よけについて: WHO Viet Nam Update #3 on Dengue 28 August 2017
• 重篤なショック,多臓器不全を呈し救命し得なかった重症型デングの1例(A fatal case of severe dengue infection complicated by refractory shock and multiple organ failure) 遠藤 真佑 他: 日本では診断されづらいという例
→帰国後体調が悪い時には日本渡航医学会 帰国後診療医療機関リストより近くの病院を検索。
また蚊媒介感染症専門医療機関一覧という情報もある。
・日本脳炎
• 1ケ月以上長期滞在する方、もしくは短期であっても農村部や郊外で日本脳炎ウィルスを持つ蚊にさらされる可能性がある方には日本脳炎ワクチンの接種を推奨。
• 日本脳炎ウイルスに感染したブタやイノシシなどの血を吸った蚊を介してヒトが感染する。
• 5月から10月にかけて季節性に発生し、特にハノイの北部地域周辺や北部の中国と国境を接する地域にも存在する。
• 多くの場合(99%以上と言われている)は無症状だが、発病した場合(高熱、痙攣、意識障害など)は30%程度が死に至る。また死を免れたとしても半数以上は脳に障害を残し重篤な後遺症が残る。
• ウィルス性の疾患であるため発症したら対症療法しかなく、抗生物質などは効果がない。
引用・参考文献
・CDC, Yellow Book, Japanese Encephalitis
・ Health Information for Travelers to Vietnam Traveler View
・NIID 国立感染症研究所 日本脳炎とは
・対策
• ウィルス性の疾患であるため発症したら対症療法しかなく、抗生物質などは効果がないため蚊に刺されないことが重要。
• 一ケ月以上長期滞在する方、もしくは短期であっても農村部や郊外で日本脳炎ウィルスを持つ蚊にさらされる可能性がある方には日本脳炎ワクチンの接種を推奨。
引用・参考文献
・海外渡航者の予防接種Q&A
・マラリア対策
• ハマダラカは主に夕暮れから明け方に活動する。蚊に対する対策は基本はデング対
策と同じ。
• 予防薬があるが薬剤耐性のことがあったり地域によって処方内容が変わることがあ
るあるので、常に最新の情報
(https://www.cdc.gov/malaria/travelers/country_table/v.html)に留意した処方を渡航外来専門医に行ってもらう。
引用・参考文献
・厚生労働省 FORTH マラリアについて
・CDC Malaria
・fitfortravel Vietnam Malaria Map
・狂犬病
• ベトナムの飼い犬は必ずしも狂犬病ワクチンを打っていない(狂犬病予防注射の接
種率は60%以下)。
• 犬以外の哺乳類(猫・コウモリ)も感染していることがあり、唾液を介して感染する。
• 狂犬病は罹患は稀だが、発症した場合は死亡率がほぼ100%なので優先度が比較的高い。
• ベトナムにおいて2018年に犬咬傷が原因で103例が死亡している。
• 特にアウトドアや洞窟探検に参加する旅行者はリスクが高い。
• 小児は噛みつかれやすい。
引用・参考文献
・Health Information for Travelers to Vietnam Traveler View
・CDC, Rabies
・外務省からの情報
・WHO, Fact sheets, Rabies
・Saigon Online 狂犬病に関するニュース
・狂犬病の予防対策
• ベトナムは輸入の狂犬病グロブリン・ワクチンに頼っているため十分な量が供給さ
れずに、病院に受診しても在庫がないことが頻繁にある。
• 事前対応としては暴露前接種が重要。
– 2018年4月のWHOからのポジションペーパーではDay0, 7,(21 or 28)となっている。
暴露前予防接種は個人ごとに状況が変わるので日本国内にいる間にトラベルクリニックに相談し ておく。
– ただしベトナム厚生省の方針としては暴露前予防2回接種の方針になっていないため、日本で2 回しか接種していない場合に認められない。
• アメリカのCDCも2019年8月の時点ではWHOの新推奨に従うのは見合わせている。
• 予防対策を行うメリット
・ 噛まれたときにすぐに病院(国外)に行けないという状況の際でも既に持っている免 疫で の防護が期待できる。
・ ワクチン投与済みならば、グロブリン(血液製剤であり、投与に伴いHIV・その他の 感 染リスクがある)の投与が必要なくなる。
• デメリット
手間と金銭(自費診療)。
引用・参考文献
・Rabies vaccines: WHO position paper – April 2018
・CDC, Travelers’ Health, Rabies
・Perspectives: Alternative Approaches to Rabies Immunization
・ワクチン未接種で噛まれると WHO狂犬病情報より
• 咬みついた動物(犬・猫)が10日間の経過観察において健康であれば治療を中止することができる。
• 上記に追加事項として以下のことがある場合にはリスクがさらに上昇する。
⇒ 原因となった動物が狂犬病を媒介する動物であった場合。
⇒ 狂犬病がまだ流行している地域で接触した。
⇒ 動物が病気っぽかったり異様な行動をしていた。
⇒ 創部や粘膜部が動物の唾液と接触した。
⇒ 何もしていないのに咬みつかれた。
⇒ ワクチンを受けていない動物に咬みつかれた。
• 輸入に頼っているためベトナム国内にワクチン・グロブリンがないことがある。
・動物(犬・猫・その他哺乳類)と接触してしまったら
• 噛まれたらすぐに水と石鹸で傷口をよく洗う。
• その後間を置かず病院受診。たとえすぐに行けなくても必ず病院に行く。
• 選べるならば信頼のあるインターナショナル病院。
ローカル病院において規定通りの暴露後接種がされていないことが散見
される。
• ただしベトナムにはグロブリンがないことが多く、日本でも入手困難なので
タイかシンガポールに行ってもらうことが多い。
引用・参考文献
・Rabies vaccines: WHO position paper – April 2018
・CDC, Travelers’ Health, Rabies
・病院に受診し暴露後予防接種
引用・参考文献
・CDC, Rabies Vaccination Information Statements
・Rabies vaccines: WHO position paper – April 2018
・猿咬傷
• 観光地であるソントラ半島、カットバ島において多数の猿(マカク属)が存在しており観光客が咬まれたり引掻かれたりするケースが見受けられる。
• CDCの勧告によると狂犬病・破傷風・Bウィルスが感染する可能性がある。
⇒サルからの咬傷、引っ掻き、サル生材料取扱中の針刺し事故などがあった場合には暴露後発症予防処置を考慮すべきである(詳細は引用参照)。
• 暴露後発症予防処置は狂犬病対策に加えて、Bウィルスに対して抗ウィルス療法が必要になる(詳細は引用参照) 。
引用・参考文献
・CDC B Virus
・Bウィルス感染症とその対策 モダンメディア 55巻11号 277 – 282
・Travelers Guide to Animal Bites, COAST VIETNAM
・破傷風
• 土壌や、動物の排せつ物に触れる機会が多い地域で感染しやすい。
• 感染経路としては、動物咬症やそれ以外の怪我(擦過傷、火傷含む)を負った際の傷口から。
• ベトナムでは軽微な怪我でも日本に比べリスクが高い。
• 犬以外の哺乳類(猫・コウモリ)も感染していることがあり、唾液を介して感染する。
• 潜伏期間は3-21日であり(多くは10日)、筋硬直・こわばり・痙攣が顎や頸部を中心に様々な部位(怪我を負った部分も含む)に生じる。治療が遅れると死亡することもある。
• 予防接種があり、10年に一度のワクチン接種で免疫の維持が可能。
– 日本人が小児期に受けたワクチンの効力は22歳以下まで。それ以上は追加接種をしている必要がある。
引用・参考文献
・CDC, Yellow Book, Tetanus
・厚生労働省 FORTH 破傷風
・CDC, Pink Book, Tetanus
・予防対策
• 病院に受診しても在庫がないことが頻繁にある。
• 日本で生まれ育った1967年以前生まれの方達は、破傷風トキソイドの接 種歴が無いため基礎免疫がついていないので注意が必要。
• 予防対策を行うメリット
⇒怪我を負ったときにすぐに病院(国外)に行けないという状況の際でも既に持っている免疫 での防護が期待できる。
• デメリット
⇒手間と金銭(自費診療)。
引用・参考文献
・CDC, Yellow Book, Tetanus
・厚生労働省 FORTH 破傷風
・CDC, Pink Book, Tetanus
・年齢でみる不足している可能性があるワクチン(キャ ッチアップスケジュール)
・暴露後予防接種
過去の破傷風ト キソイド投数 |
清潔で小さな創傷 | それ以外の創傷 | ||
破傷風ワクチン | 免疫グロブリン | 破傷風ワクチン | 免疫グロブリン | |
<3もしくは不明 | + | - | + | + |
≧3 | 最後の投与が10年以上前の場合 | - | 最後の投与が5年以上前の場合 | - |
引用・参考文献
・CDC, Yellow Book, Tetanus
・厚生労働省 FORTH 破傷風
・CDC, Pink Book, Tetanus
・体液による(性行為・Tattooなど)感染症
• ベトナムには隠れた性風俗産業が存在する。
– 性病のコントロールはされていない。
• タトゥーを提供する店も多く存在する。
• 麻薬のまわし打ちも存在するため、
エイズ・肝炎も非常に多い。
• ベトナムにおけるB型・C型肝炎ウィルスの
感染者数は、合わせて2000万人(4 – 5人に1人)に上る。
• 性交渉がありうるなら事前の教育ならびに
B型肝炎ワクチン接種が必要。
• 性交渉後、不安・症状があるなら病院受診。
引用・参考文献
・日本性感染症学会
・Viet Jo ニュース;B型・C型肝炎ウイルスの感染者数、2000万人超
・性感染症予防対策10ヶ条
1.セックスの相手を限定する 2.コンドームは必ず付ける現在では、性感染症を予防できる唯一の手段が コンドーム。オーラルセックスでも性感染症はうつるので最初から着けておく ことが大切。 3.性行為=インサート(ペニスの挿入)ではない「性行為で感染する病気」と聞 いて、直接インサートをしなければうつらないと思うのは間違い。口や指か らも感染する。 4.体調不良時のセックスは厳禁。 5.セックス前はシャワーで清潔に。 6.屋外でのセックスはしない。 7.寝具はつねにキレイにしておく。 8.性器が傷つくようなことはしない。 9.排尿・排便をすませてからする。 10.月経中のセックスはしない。 |
・特にベトナムに長期滞在する方が気を付けるべき最近話題になっている感染症
• ベトナムで働いていることによって感染する確率が上がる病気。
• 日本に持ち込んではならない病気。日本から渡航先に持ち込んではいけな い病気。 – 体調が悪い時には医師に相談するのはもちろんの事、定期的な検診(結核)や予防接種( 風疹・麻疹・麻疹)などが必用。
• ベトナムで長期に生活していく人が気を付けるべき病気。
・麻疹(はしか)・風疹・流行性耳下腺炎(おたふく)
ー生まれてから2回予防接種していない人はかかりやすい
-ベトナム国内でも輸入3種混合ワクチンMMRで予防可能
• 麻疹(はしか)
– 咳嗽、鼻汁、結膜炎や、全身に広がる発疹を認める疾患。空気感染であり感染力が強い。 – 特効薬はなく対症療法のみであり、発症すれば麻痺などの神経学的後遺症が残ったり死亡す ることがある。 2回の予防接種で免疫を付けておくことが重要。
– 2018年9月から麻疹が流行し始め、2019年1月にベトナム保健省よりアウトブレイク宣言。2019 年8月現在収束していない。
• 風疹
– 飛沫感染をする。主な症状として発疹、発熱、関節炎、リンパ節の腫れがある。まれに脳炎を 起こすこともある。
– 特に妊娠初期の妊婦に感染すると、様々な障害を持った子供が生まれる可能性が高まる。 – 特効薬はなく対症療法のみである。妊娠前の女性だけでなく、成人男性、妊娠中の女性の家 族も2回の予防接種で免疫を付けておくことが重要。
• 流行性耳下腺
– 突然の両側または片側の有痛性耳下腺腫脹や微熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛、食欲低下、時 に後遺症として難聴。
– 飛沫・接触感染である。特効薬はなく対症療法のみである。
引用・参考文献
・東京都感染症情報センター 麻しん
・NIID 国立感染症研究所 風疹
・東京都感染症情報センター 流行性耳下腺炎
・厚生労働省 風しんについて
・2018年以降日本では風疹の流行が続いている
-2018年には2017人が、2019年第30週時点で2039人が報告
• 最近の傾向として報告患者の ほとんどが成人で、男性が女性より多い。
• 特に 30~40 代の男性と妊娠出産年齢である 20~30 代に多い。
• 2000年4月1日以前に生まれた者はワクチンの2回接種をしていない可能 性があるので母子手帳や血液検査などで確認が必要。
引用・参考文献
・厚生労働省発表、風しんについて
・NIID、風疹急増に関する緊急情報
・出産の予定がある方だけでなく、全ての赤ちゃんを 守るため予防接種した人を増やす。
妊婦が風疹ウイルスに感染すると、赤ちゃんが
「先天性風しん症候群」(先天性心疾患、難聴などの先天異常)を発症する恐れが ある。
・結核について
• 2017年のWHOの統計によると、ベトナムにおける結核の感染率は日本の8.6倍( ベトナム129.0人/人口10万人vs 日本15人/人口10万人)、死亡率は約5.8倍(ベト ナム12.88人/人口10万人vs 日本2.21人/人口10万人)。
• 感染しただけでは症状が出ない(潜伏感染)が何らかの原因で免疫力が低下し たり体力が落ちたときに発症して感染源になることがある。
• また排菌(咳などで体外に菌を出すこと)をしていなければ周囲に感染させる心 配はない。
• 発病すると以下の症状が出現。
初期症状:せき、痰、寝汗、疲れやすい、37~38度の発熱
悪化症状:血痰、胸痛、体重減少、呼吸困難など。
引用・参考文献
・WHO Vietnam Tuberculosis profile.
・東京感染症情報センター 結核
・企業で役立つ結核の正しい知識 外国人実習生を受け入れる企業向けパンフレット
・結核の予防対策
• 予防接種歴を確認する。受けてなければ医師に相談。
• 咳をしている人に近づかない。
• 初期症状は風邪とよく似ているため、2週間以上連続して咳が出ている場 合には病院で検査を受ける(受けさせる)。
• 検診を定期的に受ける。
• 使用人(ナニー・ドライバー)を雇う場合は,必ず胸部レントゲン写真を含む 検診を行って,感染性のある結核でないことを確認する必要がある。
⇒当院に検診サービスがあります。
引用・参考文献
・ 企業で役立つ結核の正しい知識 外国人実習生を受け入れる企業向けパンフレット
4)ベトナムにいる日本人医師として関わった さまざまなトラブル
• アタマジラミ、やけど虫など日本であまり経験しない疾患。
• 在留邦人がいわゆる凶悪犯罪(殺人など)に巻き込まれるケ
ースは少なく治安が比較的良好と思われているが,スリや置 き引きなどの軽犯罪に巻き込まれるケースは頻発している。
– バイクを利用したひったくりにより引き倒されて外傷を受けることが比 較的頻繁にある。
– 麻薬・覚せい剤・笑気ガス絡みのトラブルが時々ある。
その他参考情報
・ CDC: Health Information for Travelers to Vietnam Traveler View
・ 外務省からの情報
・ 在ベトナム日本国大使館 ベトナムで安全に滞在するために
・ 在ベトナム日本国大使館、麻薬犯罪等に関する情報
・ VNEXPRESS, Health ministry backs Hanoi on laughing gas ban
・ベトナムの治安情勢と安全対策 梅田 邦夫 駐ベトナム日本国特命全権大使
・ Jellyfish Agent, ベトナムは治安が悪い?ベトナムでよく起きる犯罪と防犯対策を解説
・バイク等によるひったくり
-それに伴う外傷
• スリやひったくりは頻発し、特に観光客や外人は狙われやす い。ひったくる際にカバンの紐等に引っ張られて引き倒されるため頭部外傷、打撲・骨折、擦過傷による破傷風菌などの細菌感染などが生じるので警察への報告と共に病院受診も必要。
– 詳細は動画参照:https://www.youtube.com/watch?v=dIlr0UNSgdg
– なお現地警察は適切な対応してくれないことも多いため(言語の問題ならびに組織的な問題などの理由で)、場合によっては日本国大使 館や領事館に相談することも必要。
– 夜間に多く発生するため現地で24時間対応可能な病院を知っておくことも必要。
・シラミ症
• ベトナムでは未だにアタマジラミがよくみら
• 家族内に発生した場合、家族全員が治療対象。
• シラミを除去するためのシャンプーが現地にもあり、病院で処方可能(使 い方が特殊なため説明をしっかり理解する必要あり)。
• また幼稚園などの集団生活で感染するため発生したら担任に報告する 必要がある。
引用・参考文献
・ シラミをうつされた!? ~ベトナムでできる対処法~ VIET JO 2016年04月22日
・ NIID シラミ症とは
・やけど虫(ハネカクシ)
• ベトナム北部・南部問わずハネカクシによる皮膚障害(やけどをしたよう に赤く腫れ、水疱が生じる)が散見される。
• ハネカクシの体液が皮膚障害の原因なので体についているのを見つけ た場合はつぶさず払い落とす。
• 皮膚障害がこじれると細菌感染が合併することもあるので医療機関を受 診する。
引用・参考文献
・「やけど虫」に注意、叩かずそっと払いのけて;VIET JO 2015/10/14
・日本臨床皮膚科医会 線状皮膚炎
【3】ベトナムの医療事情、病院受診の仕方などについて
1)ベトナムの医療の情報
• ハノイやホーチミンなどの都市では外国人・日本人患者を診る(と謳っている)病院は幾つかあるが、そのクォリティは一定していない。
– ベトナムには医療職の免許に対する国家試験がない。
– ベトナムで働く外国人医師の中にはMedical Practice Certificateを取得していない者や医療行為の許可を得ていない病院・クリニックがある。
• また輸血用血液製剤の安全性、入院施設、専門医の質も低い。
• 高度な医療が必要になった際に、バンコクやシンガポールといった医療先進地域で 治療が受けられるように十分な補償が付いた海外旅行者保険に入っておく(なお日 本への帰 国費用等は距離が遠く高額になるため、仮に保証額の範囲内であったとしても保険会社 が許可しないことがある)。
• またローカルの薬局や病院で一般的に使用されている薬の質が悪いため、高額で あっても信頼のあるInternational Clinicを受診することが推奨される。
引用・参考文献
・ CDC Yellow book
・ 国際医療展開セミナー、ベトナムについて
・ Saigon Online, Dong Nai authority forces illegal Chinese doctors to leave Vietnam
・ベトナムで陥りやすい問題
• 現地事情を理解できる専門家(医師・アシスタンス会社)とのコミュニケー ション不足。
• 海外経験の乏しい新規の日系病院、顧問医、医療アシスタンスサービス会 社が必ずしも現場の医療を認識していない、営利優先なことがある。 ⇒外国(日本・シンガポール・タイなど)の紹介病院との関係不足。 ⇒医療レベルが高い病院ではなく、自分たちの利益になる病院を選択する 傾向がある。
• ベトナムの医療レベルは未だに低く、倫理観も十分ではないため間違った 治療や不必要な治療が行われることがある。
• これに加えて現地の病院では治療情報の混乱や、開示拒否が多いので、 その後の対応に混乱が生じやすい。
• 商業主義(長期入院・過剰診療・外国人価格)を第一とする現地医療機関も 多いので 前金をすぐに準備できなければ緊急処置や手術が受けられな い。
・受診できる病院の探し方
• 現地の日本大使館・領事館に紹介してもらう。
• インターネットによる情報収集。
• 情報が偏る可能性があるが
– 旅行会社に紹介をしてもらう。
– 旅行保険会社に紹介をしてもらう。
– ホテルに紹介してもらう。
• 現地のニュースペーパー、口コミは専門家がAuditしているわけではないの で参考にはなるが、間違った情報も多い。
– 例:サプリメントなどに関する誇大広告
『日本の薬を置いてます』などのイリーガルな情報。
⇒薬のハンドキャリーは禁止されており、品質にも不安が残る。
・日本人向けの病院 (Raffles ホーチミンクリニックの例)
• 以下の図のように総合診療医は、医療サービスの玄関口として、さまざまな疾患 に対応し、状況によって専門医と協働して診療を行う。
• 重篤な疾患なら国内・国外の高度な医療施設に依頼する。
・病院のサービスを知る
-多くの日本人向け病院の一般的なサービス内容
• かかりつけ医としての機能。
• 一般的な健康診断・産婦人科検診・乳幼児健診など。
• ワクチン接種:日本で打ち始めたワクチンの続きもベトナムで 可能。
• メンタルヘルスの相談。
• 会社内での健康対策などの相談。
・総合診療医(General Practitioner)とは?
-ベトナムで病気になった時に最初にかかる医者
• 英国連邦系で発展しているシステムであり日本では2018年よりカリキュラムス タートしたばかりなので一般的には馴染みがない。
• 総合診療医は、医療サービスの玄関口としてさまざまな疾患に対応し、必要に応じて専門医・より高度な医療施設に依頼する判断をする。
• 小児・高齢者を問わず、風邪や生活習慣病などの日常的な健康問題に加えて専門医的疾患のうち軽度から中等度症状まで対応する臨床能力がある。
・医療費用をどう支払うか?
• 海外旅行傷害保険
• クレジットカード付帯海外旅行保険(ただし受診前に保険会社に事前連絡が必須)
• 国民健康保険、社会保険
• 会社払い(出張者、現地で働いている方)
• ベトナム当地の傷害保険
• 自費払いなど
引用・参考文献
・ 海外旅行保険の救援者費用ってどんな補償? いくら必要なの?
・ ジェイアイ傷害火災保険株式会社 2018 年度 海外旅行保険事故データ
・ ジェイアイ傷害火災保険株式会社 みんな安心BOOK
・海外医療搬送にかかる費用について
• バンコクから日本まで、コマーシャルフライトで250万円、チャーター機で900万 円程度。
• このため、外傷・疾病費用については2000万円、救援者費用についても 2000 万円加入するように指導している会社も有る。
• 3000~4000万円分加入していればあれば、”容体が許せば”であるが、日本ま で搬送してくれる可能性がある。
• 特に新規に進出してきた会社の方の場合、十分な額の旅行傷害保険に加入 していないケースも多く、 会社の保障や家族等に連絡して送金してもらうこと もある。
引用・参考文献
・ 海外旅行保険の救援者費用ってどんな補償? いくら必要なの?
・ ジェイアイ傷害火災保険株式会社 2018 年度 海外旅行保険事故データ
・ ジェイアイ傷害火災保険株式会社 みんな安心BOOK
・海外旅行者保険ではカバーしないものがある(*日本の健康保険はカバーしている)
• 車の保険と一緒で、契約時に自分で補償内容を選んでいるはずなので、 自分自身で把握しておく(病院にきいてもわかりません!)。
• ほぼすべての場合、海外で発症した急性期(6ケ月以内)の病気やケガを 対象としている。
• また持病や既往症にも適用されない。
• 歯科治療や出産にかかわる事項(妊婦検診等含む)なども適用されない。
• 持病(慢性疾患)、妊娠、予防接種、健康診断、歯科治療に関連した診療 に対して海外旅行傷害保険等は適応されないことが多い。
2)ベトナムに住むための準備
・ベトナムに持ってくるもの
• 海外旅行者保険・クレジットカード付帯保険の内容の確認および証券を 常に携帯する(写真等のデジタルデータ可)。
• 特に既往歴のある方、高齢者に関しては
⇒英文で身体状況を説明する書類。
⇒ワクチンの接種状況を英語で記した書類。
⇒普段から使用している薬品(商品名でなく原材料の英語名)に関する 医師の署名の入った処方箋。
• 旅行に必要な薬(常用薬、トラブル対策の頓服、抗マラリア薬(地域に応 じるので医師に要相談)など)
引用・参考文献
・CDC, Health Information for Travelers to Vietnam, Healthy Travel Packing List
・海外旅行者・帰国者のための感染症予防ガイド
・厚生労働省 FORTH もしもの時に備えて -旅行用セット
・CDC Malaria Information and Prophylaxis by countries.
・情報入手手段(渡航者向け)
• 現地の医療情報としては厚生労働省検疫所からの情報及び外務省の提供している情報が正確。
• 海外での医療に関する具体的な質問などはJAMSNETからも日本の専門家に相談可能。
• また以下のような突発するテロや災害に関する情報を携帯電話でオンタイムに入手できる アプリ(たびレジ)などもある。
引用・参考文献
・ 海外安全対策マニュアル
・ たびレジ、オンライン在留届に関する情報
・ 外務省 海外安全アプリ 2019
・日本での処方に関して
現地で日本語を理解する医療者がいるとは限らないので、お薬手帳は役に立たない。最低限薬の成分名が英語で必要。できれば英語の説明を患者本人に持たせる。
※添付の画像は本人の許可あり。
引用
くすりのしおり
・常備薬の準備
1.消毒液。
2.滅菌ガーゼと、それをとめるテープ。
3.経口補水薬。
4.下痢止め。
5.抗ヒスタミン薬。
6.解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)。
7.胃もたれ・胸やけ・二日酔いの薬。
*解熱鎮痛薬に関してはアセトアミノフェン系の解熱剤を準備する。
*いわゆる「下痢止め」は、感染性腸炎の病原体を体内に停滞する。
下痢の治療の基本は脱水予防と排出すること。
引用・参考文献
・CDC, Health Information for Travelers to Vietnam, Healthy Travel Packing List
・日本の薬と海外の薬の違い
• 日本製の薬は入手しづらいが、海外で一般的に使用されている薬は大抵手に入る。
• 原材料(成分名)さえわかっていれば同様のも のをほとんど入手できる。
出典
Answers News 【2017年製薬会社世界ランキング】
・海外からベトナムへの薬の持ち込み
法律の上では輸入と定義される
1. 本人の治療のための使用が目的(非営利目的)である場合ならば薬物の持込が可能。
2. 次の場合には輸入許可が必要ない。
A) 医療用麻薬、睡眠薬、抗不安薬などの薬に関しては、医師より渡された処方箋に記載されて いる用法用量に従い、非営利目的で薬の持ち込みが可能。 a. 習慣性薬物(麻薬などの事、処方した医師に確認のこと)は最大7日分。 b. 向精神薬またはその前駆物質に関して(処方した医師に確認のこと)は最大10日分。
B) 上記以外の薬物に関しては一年に三回まで、1度につき総関税額が最大200米ドルまで持ち 込み可能である。またベトナムの法令により致死的と認められた疾患。(https://mplaw.vn/en/decree-no-1342016nd-cp-of-september-01-2016-guidelines-for-the-lawon-export-and-import-duties/参照)に関しては、一年に四回まで一度の総関税額が10,000、 000ベトナムドンまで持ち込み可能である。
3. 上記2以外の条件の場合で薬の持ち込みをするためには以下の書類が必要となる。
① No. 27 in Appendix IIIのフォームに沿って作成された輸入許可のための申請書類。
② 輸入する薬の出所と品質保持に対しての責任の所在が申請者に属するという宣誓。
③ 署名入り処方箋および診療情報提供書。これらの書類は以下の情報を含まなければならない。
a. 患者の年齢・氏名
b. 薬の名前、組成、性情、用法用量、服薬方法。
c. 主治医の氏名と署名
d. 主治医の勤務する病院名と住所
④ 申請者のの身分証明書(パスポートなど)。
引用・参考文献
DECREE GUIDELINES FOR IMPLEMENTATION OF THE LAW ON PHARMACY
・ローカル薬局での薬の購入
問題点
– 薬剤師は日本のような『薬剤師免許』を持っていない。
– 日本語の通じる薬局は皆無、英語が十分に通じるところは稀薬の保管方法がいい加 減(温度・湿度や直射日光)。
– 質の悪い薬や偽物の薬が流通している。
– ベトナム国内メーカーで製造された薬を調査すると質のばらつきが大きい。
– 登録されていない薬物の流通。
例:中国からの人肉カプセル、出産後の胎盤など
– 中国、タイ、ラオスと国境が接しているため密輸入品の規制が困難。
・渡航前のワクチンの打ち方の一例
• 情報を発信する団体・所属する会社・ 病院などによって違うことがある。
• 基本的にはCDCやWHOの情報を参 考にする。
• 国ごとに必要なワクチンが異なる。
• 年齢・病状によっても異なる。
出典
・日本プライマリ・ケア連合学会 渡航ワクチンとは
・CDC Health Information for Travelers to Vietnam Traveler View
・ベトナムにある国際的な病院でのワクチン情報
-基本的には国際基準とベトナムの法令に従う:Raffles HCMCの例
・ベトナムにある国際的な病院でのワクチン情報
-ハンドキャリーで薬品を持ち込むことが禁じられているので日本のワクチンとは違う製品になることに注意。
引用・参考文献
・海外渡航者の予防接種Q&A
・CDC Health Information for Travelers to Vietnam Traveler View
・Raffles Medical ベトナム ワクチン情報
3)日ごろの備え
• 保険の内容の確認および証券を常に携帯する(写真等のデータ可)。
• 特に既往歴のある方、高齢者に関しては緊急時に備えて以下を携帯する。 ⇒ 英文で身体状況や常用薬、ワクチン接種状況を説明する書類・データ。
• 自分に合ったかかりつけ医を見つける。
– 夜間に発症した場合、重症化しやすいので24時間対応の病院が理想的。
– 風邪などで受診したときに健康診断結果(別の病院で受けたとしても)を伝えて おく。
– 普段からの細かなやり取りがいざという時(意識がないなどの)明暗を分ける。
• ワクチン接種などを常にUpdateする(ワクチンのライセンスを持つ International Clinicでは日本での続きが可能)。
4)Work Permitのための健康診断の注意
・Work Permitのための検診
プロセスが複雑
• 検診が提供できるのはベトナム人医師。
• 検診の結果+職能、学歴によってWork Permitが出るか出ないか変わることがある。
地域によって異なる検査(特に感染症)の内容(注意:2018年時点)
• ハノイ: HIV、B型肝炎、梅毒、マラリア、結核が検診に含まれる。
• ホーチミン: 結核以外の感染症はルーチンでチェックしていない。
来越後の生活習慣病のコントロール不良によりWork Permitが更新 されないこともある
• ベトナムでの生活は生活習慣を悪化させやすい。
• Work Permit検診に引っかかってもその後の対応で通る可能性があるので、問題があっ たら医師に受診を(当院でも検診ならびにその後の対応ができます)。
5)病院を受信すべき症状(特に風邪かどうかの判断に迷うとき)
・病院に行くべき症状 特に風邪に関して
いつもと違う症状だと思ったら。
• 39.0度以上の高熱
• 汗や寒気を伴うような発熱
• 色のついた痰がでるとき
• リンパ節(首のグリグリ)が大きく腫れているとき
• 頬やオデコの痛み(副鼻腔炎に伴う痛み)が出てきたとき。
✓ 症状が4日以上たっても良くならないとき。
✓ 呼吸困難がある、胸が苦しいとき。
✓ 頭痛が強い時、首が硬くなってきたとき。
✓ 発疹がある。
✓ 関節痛・筋肉痛がある。
・特に小児の場合
発熱に関して
• 2歳以上の子供:39度以上の熱が出たとき
• 2か月以上2歳未満:38.5度以上の熱が出たとき
• 2か月未満:37.5度以上の熱が出たとき
• 発熱が3日以上続くとき
症状としては
• 機嫌が悪い、水分摂取ができない、嗄れ声、尿が少ない、息を する時にゼーゼー言っている。肋骨と肋骨の間がペコペコ動い ている。
• 保護者の「いつもと違う」と感じたら。
・帰国後のフォローアップも大事
-渡航後外来という特殊外来がある
• 日本に帰ってから体調の不良を感じた場合、必ず感染症科のある病院を受診し、 渡航歴を伝える。 その際には渡航歴に加えて『何処で、何をしたのか?』、『動物との接触があった か?』を必ず伝える。
• 帰国から1年程たってから症状が出ることもあり得る(マラリアなど)。
• デング熱など日本にない疾患は、日本の医師は見たこともないので(すぐには)診 断できない。結果死亡例あり。
・重篤なショック,多臓器不全を呈し救命し得なかった重症型デングの1例(A fatal case of severe dengue infection complicated by refractory shock and multiple organ failure) 遠藤 真佑 他: 日本では診断されづらいという例
• 帰国後体調が悪い時には日本渡航医学会 帰国後診療医療機関リストより近くの 病院を検索。 引用・参考文献 ・CDC, Getting Sick after Travel
引用・参考文献
・CDC, Getting Sick after Travel